その価格で取引する理由を説明できるかどうかが、トレードの質を左右すると言っても過言ではありません。明確な価格水準として、多くのプロトレーダーや機関投資家が活用しているのが VWAP(出来高加重平均価格) です。
VWAPは単なるインジケーターではなく、自分自身の売買コストを見える化する強力なツールでもあります。この記事では、「VWAPにこだわることの本質的な効能」に焦点を当てて解説します。
VWAPとは何か? — 市場の平均コスト
VWAP(Volume Weighted Average Price)とは、「その日の出来高を加味した平均価格」のこと。
VWAP =(価格 × 出来高)の合計 ÷ 出来高の合計
この数値は、市場参加者の平均的な売買コストを表しているともいえます。
VWAPの本質:それは“あなた自身の平均売買コスト”でもある
多くの人が忘れがちですが、VWAPは**市場全体の平均コストであると同時に、あなた自身の“目標コスト”**でもあります。
たとえば──
- あなたが買いでエントリーしたとき
→ 自分のVWAP(平均買いコスト)より高く売れれば利益 - あなたが売りで入ったとき
→ 自分のVWAP(平均売りコスト)より安く買い戻せれば利益
このときに注目すべきなのがVWAPスプレッドです。
VWAPスプレッド = 現在価格 – 自分のVWAP(平均売買コスト)
- スプレッドがプラスなら、勝っている(含み益 or 実現益)
- スプレッドがマイナスなら、負けている(含み損 or 実現損)
つまり、VWAPは単なるラインではなく、あなたのトレードを評価するための採点基準になります。
VWAPにこだわる3つの効能
① 機関投資家の行動を見抜ける
大口プレイヤーは「VWAP以下で買い、VWAP以上で売る」ことをKPIとしているケースが多く、VWAPがレジスタンスやサポートとして機能することがよくあります。
よって、VWAPを軸にすれば、機関投資家の動きに便乗する戦略が立てやすくなります。
② トレードの「評価基準」として機能する
トレード中、「今勝っているのか負けているのか」が感情で曖昧になることがあります。そんなとき、VWAPスプレッドが答えを出してくれます。
- +1%上で利確 → 優位なトレード
- -1%下で損切り → 不利なトレード
このように、VWAPを使えば、感情ではなく数値で自己評価が可能になります。
③ 単純だけど、継続的に使えるインジケーター
VWAPは1本のラインしか表示しませんが、そのシンプルさこそが最大の強みです。
以下のような戦略にも簡単に組み込めます。
- VWAPリバージョン戦略(乖離した後の収束を狙う)
- VWAPブレイク戦略(出来高とともにVWAPを明確に突破した場合の順張り)
実践例:VWAPで自分の成績を測る
- 自分の買いエントリー時の価格からVWAPを算出
- 数時間後または日中の価格と比較して、スプレッドを測定
- ±の差をトレードジャーナルに記録し、改善点を分析
この繰り返しこそが、負けトレードの早期察知と、勝ちトレードの再現性強化につながります。
VWAPは「自分自身のトレードの物差し」
VWAPは他人のためのラインではありません。**自分自身のトレードのコスト基準であり、損益を定量的に評価する“スコアボード”**です。
「勝っているつもり」ではなく、「本当に勝っているか」を明確にする。
そのために、VWAPを毎日のトレードルーティンに組み込むべきです。
あなたのトレード、プラスVWAPですか?マイナスVWAPですか?
まずはそれを見える化することから始めてみましょう。