5月19日(水曜)のマーケットを語るのは暗号資産一択であろう。米連邦準備制度理事会(FRB)の議事録の公開というイベントがあったが、暗号資産のボラティリティの前では大国の金融政策の指針といえども霞んだように映る。前日のこの時間帯のビットコインは、既に40,000ドル手前まで安値が進んでいた。昼過ぎには4万ドルを割れてこの水準を軸に前後していたが日本時間の19時頃に再度4万ドルを割れた時から徐々に下げ足を速め、21時半~22時の短期間で約1万ドル安と急落し3万ドル前後にまで到達した。暗号資産取引所によっては3万ドルを割れたところもあった。また、複数の取引所では取引処理がパンクしてシステム障害も発生していた。先月に史上最高値が64,800ドルだったことを考えると半分以下にまで落ち込んだという何とも投機的なマーケットであることは事実である。ビットコイン・ゴールドは安値15まで下落後に現在は19~21まで回復している。1ロットで取引をした場合、1ポイントはゴールド1つ分=1,870ドル相当なので昨日の暴落はまさに凄まじいものであった。
※ビットコイン・ゴールドの取引ができるのは大手の海外ブローカーExness(最低0.5ロット)
DEX(分散型取引所)の流動性供給で、例えばETHとステーブルコイン、あるいは他のトークンをロックして利回りを稼ぎにいく流動性マイニングという手法があるが、価格変動が激しく、かつ片側のトークンの流動性が枯渇したことからロックが外れるという下落に歯止めがかからない場面もあった。もちろん、暗号資産デリバティブ市場では大量のロスカットを巻き込んで下落が下落を呼ぶ展開になったということも要因である。中国の金融機関に対する規制強化の報道も材料視されるが、マーケットの動きそのものについては、以下の私の考えを記した「マーケット解説」についても目を通していただきたい。今回、ビットコインは確かにメインとなっているが、DeFi関連のイーサ暴落についても注視しておきたい。2020年3月もいわゆるコロナショックという金融市場から派生した暴落劇が繰り広げられたが、今回はDeFiやNFTといったブームが起こった中での暴落発生であり、その影響度は既に大きい。イーサは3,200~3,400ドルから2,000ドルを割れるところまで安くなり、その後の戻りで2,300~2,600ドルで上下変動を繰り返している。いったん戻ったのでまだ顕在化していないが、今後はDEX(分散型取引所)の流動性が枯渇すれば、連鎖的に崩れる可能性もあることだけは肝に銘じておきたい。
今後の暗号資産業界の懸念事項であるが、崩壊はまだよいがその後に低位低迷する冬の時代だけはごめんだとSNSでも騒がれている。値動きさえあれば上向きでも下向きでもトレーダーにとってはチャンスとなるが、価格が動かなければどうしようもないのはトレーダーもブロックチェーン業界に携わるビジネスパーソンにとっても同じといえるだろう。昨日に解説した「ビットコインが値下がりした時にすかさず買いを入れて反発を狙うといった逆張りトレードは徐々に機能しなくなってきている」ということについて、少しでもお役に立てたのであれば幸いである。
さて、金融市場であるが米国株は後半にかけて値が戻り、下げ幅は縮小した。ダウは前日比マイナス0.48%だったが、ナスダック100はプラス0.15%で取引を終えた。欧州株は全体的に1%を超える下落率となった。恐怖指数のVIXは22.18で、為替のほうはドル指数の上昇が確認できる。カナダドルは弱含み。ユーロ円は日足ベースでじわじわと切り上げて133円での推移。NY原油は米国とイランからの供給増加により続落。前日比マイナス3%程度であり、3月8日の高値67.98ドルへの到達は更に遠のいた。穀物は、コーンに遅れて小麦や大豆が値崩れした。米連邦準備制度理事会(FRB)の議事録が公開され、テーパリングの議論を始めようとしている参加者がいることがわかり、テーパリングが早まる可能性もあるというシグナルをマーケットに送ることとなった。
【トレード妙味のある銘柄】
ビットコイン
イーサ
ユーロ円
大豆、小麦
【マーケット解説の注意事項】
以下のポイントを考慮しながらお読みください。
①それが一過性のものなのか
②継続するものなのか
トレーダーとしての心構え
・「物事が起こってからの解説」はただ単に読むだけでよい。予測の力量やトレードの成績には影響しない。
・「今」のマーケットの動きは説明できない。
・方向性がわからなくても儲けることは可能。
・アナリストやストラテジストが「上がる」と説明しているマーケットに対して、戻りや調整局面に対して利益を出すことができる。
トレーダーは市場原理を知らなくても勝てる人は勝てる。トレードに直結しないマーケット解説や市場分析のみの人と、そうでない私のような考えの人が書いたレポートとでは少しスタンスが異なるはずです。が、やはり私が書いても表面的には「一般的な市況と変わらない」のはやむなしと捉えて下さい。
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