T+2決済を活用した株式トレード戦略と月末アノマリーの妙味
株式市場では、決済サイクルや市場参加者の行動パターンに起因する規則的な「アノマリー」が存在します。その中でも、T+2決済を軸にした月末から月初にかけての動きと、それを活用したトレーディング戦略を取ることも可能だと思います。特に月末の財務諸表への影響を避けたい投資家の行動を逆手に取り、利益を狙うロジックをここで説明したいと思います。
財務諸表とT+2決済の関係性
T+2決済とは、株式の取引が約定日から2営業日後に決済される仕組みを指します。このルールにより、特に月末には以下の動きが発生します:
- 財務諸表への影響を避けたい動機
- 機関投資家や一部の企業は、株式保有が財務諸表に反映されるのを嫌い、月末直前にポジションを解消する傾向があります。
- 月末の売り圧力
- この動きにより、月末の前2営業日には売りが集中し、株価が下落しやすくなるのではないかと仮定する。
- 月初の買い戻し
- 売りが一巡した後の月初には買い戻しが入りやすく、株価が反発する傾向があります。
トレーディング戦略:月末のアノマリーを逆手に取る
基本コンセプト
- 月末の前2営業日に特定の条件を満たす銘柄を購入し、月初の反発を狙う。
- 市場全体や個別株のトレンドをフィルタとして用い、成功確率を高める。
トレーディングロジックの具体的ルール
- エントリー条件
以下のいずれかを満たす銘柄をスクリーニング:
- 騰落率が大きく下落
- 月末の前2営業日で株価が-2%以上下落。
- 出来高が急増
- 通常の3倍以上の出来高を記録した銘柄。
- 市場全体が強気傾向
- 日経平均やS&P500などの主要指数の20日移動平均が上昇中。
- 個別銘柄の長期上昇トレンド
- 50日移動平均線が200日移動平均線より上に位置している。
- エグジット条件
エグジットポイントを明確に定める:
- 月初(翌月1~2営業日)の始値または高値で利確。
- 利益目標は+2~3%。
- 損切りラインはエントリー価格の-1~2%。
T+2決済と月末アノマリーを活用したトレーディング戦略は、市場の規則性を巧みに利用した方法です。財務諸表に株式保有を記載したくない投資家の行動を逆手に取り、他のトレーダーよりも一歩先を行くことができます。
この戦略は、相場の状況に応じて柔軟に活用でき、特に月末の売り圧力が強まるタイミングでその効果を発揮します。市場参加者の行動心理を理解し、タイミングを見極めて実践することで、より良い結果を得られることでしょう。