10年前というと、アメリカ同時多発テロ事件の約3カ月前というところでしょうか。日本でシステムトレードというのは一般には広まっていないものの確かに存在していた手法であり、シンプルな手法でもよく機能していました。これはまだマーケットが洗練されておらず、思惑のみで相場が動くといったことが頻繁に起こっていたのが理由であり、システムトレードにとって機能しやすい環境であったと言えるでしょう。
それから10年の月日が過ぎ、システムにとって必ずしもよいとは言えない年もありました。ライブドアショック以前は、裁量で儲けている人も多く、システムトレードも注目され始めて儲かる人が増えてきました。全体的に景気がよかった印象がありましたが、リスクを取り過ぎていた人はその後の相場変遷により生き残ることはできず、システムにとってもよくない時期が続きました。日本の商品先物が傾き始めたのもこの頃でした。
2007年8月にはクオンツ流動性危機という一般には広まっていなかったもののプロフェッショナル間で大きな話題となった流動性の危機が訪れたこともありました。この流動性危機はリーマンショックの前兆であったとも言えるのかもしれません。そのリーマンショックの時などは統計的にはあり得ない動きを見せ、リスク管理の甘いシステムや勝率にだけこだわっていたシステムなどは沈没しました。
その後のボラティリティ低下はシステムトレーダーにとって最も厳しいものとなり、それまで無敗だった大手ヘッジファンドもマイナスパフォーマンスを計上するなど苦しい展開が繰り広げられました。その後、マーケットは沈静化し株価は徐々に回復を見せ始めて現在に至るわけですが、システムトレード手法は一時期のブームは過ぎ去ったとはいえなお健在であると言えます。
今の位置付けとしては、システムトレードとは完璧なものではないもののリスク管理しやすく、長期的に勝てる可能性の高い手法であると言えるでしょう。当然、10年前と同じような技術では勝っていけません。更に開発技術を磨いてコツコツとマーケットに挑むのが生き残っていく上で必要となる資質であると思います。
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