事後対策というのは、事前対策と比較してかなり易しいものです。事後対策では起こりうるイベントは決まっており、その対策を練ればよいだけです。その案の是非は小学生でも判断できるものですから本来特別な議論は必要ないのですが、あたかもそれこそが危機対策の本質であると大半の人は考えてしまいます。
例えば、ある場所でボヤ騒ぎが起こったと仮定しましょう。騒ぎの原因はタバコの不始末です。その対策は、1、タバコを吸わない 2、決められた場所でタバコを吸う 3、喫煙所での見回りを強化 など幾らでも案はあるのかもしれませんが、既に議論が「火事」のみの対策に縛られていることから思考に制限があるということにほとんどの人が気づきません。大事なのはそこから事前対策へと発展することで、他に問題がないのかを考えることこそが人間の存在価値であると言えるでしょう。
上の例で対策を練らないのは論外ですが、火事対策だけで終わることは小学生の学級会でも取り上げられるでしょうし、コンピューターでも計算できる内容かもしれません。しかし、その一歩先をいくことは何よりも人間のみが到達できることではないかと考えています。ちなみに、事前対策はあらゆることが想定できますから労力を伴うものであり危機対策の大半は無駄に終わる可能性があります。しかし、大切であることは言うまでもないことだと思われます。
トレーディングに関しても思考を巡らせることでチャンスは幾らでも出てくると思います。ただ単にリーマンショックやユーロ圏崩壊などのシナリオを想定するだけではなく、様々なリスクに対する準備を怠らないこと。あるいは、まだ誰も発見できていない構造アノマリーを見つけることなど攻撃的な事前対策を練ることが大事だと考えます。
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