板に並ぶ注文量が多く見えても、実際の成行注文がどの価格まで食い込むかは別問題です。板の厚み、想定約定価格、ミッド価格からの乖離を記録し、注文サイズによってPrice Impactがどう変化するかを検証する方法を整理します。
表示された板の厚さだけでは流動性を判断できません
板には複数価格帯の指値注文が並びますが、最良気配の数量だけを見ても、大きな注文がどこまで価格を動かすかは分かりません。特に暗号資産やパーペチュアル市場では、同じスプレッドでも板の奥行きによって実際の約定価格が異なります。
Price Impactとは、注文によって市場価格がどの程度動いたかを示す考え方です。表示スプレッドが狭くても、必要数量を最良気配だけで処理できなければ、複数価格帯を順番に約定するため平均約定価格は悪化します。
注文サイズごとの想定約定価格を計算します
検証では板情報から、一定金額を成行で処理した場合の加重平均約定価格を計算します。例えば小・中・大の複数サイズを仮定し、それぞれについて約定価格と発注前ミッド価格との差をbpで保存します。
さらに最良気配から0.1%、0.5%など一定範囲に存在する累積注文量を記録すると、単純な最良Bid・Askより市場の奥行きを比較しやすくなります。同じスプレッドでも累積Depthが薄ければ、注文サイズの増加に伴ってPrice Impactが急拡大する可能性があります。
個人でも板スナップショットを蓄積できます
APIなどから板の価格と数量を一定間隔で保存し、時刻、ミッド価格、スプレッド、累積Depth、サイズ別想定約定価格を一組のデータにします。これを通常時と価格急変時で比較すれば、流動性がどの程度縮小したかを数値で確認できます。
重要なのは「板が厚い・薄い」という印象ではなく、一定サイズの注文を処理したときミッド価格から何bp離れた価格で約定するかを継続して測ることです。板情報を約定コストへ変換することで、見かけの流動性と実際に利用可能な流動性の差を検証できます。






