頻繁にトレーディングを行うと、そこにコストが発生します。バイサイド機関投資家であれば、コスト分析(Transaction Cost Analysis)をすることでマーケットの流動性と比較して、枚数は妥当であったか無駄な取引はなかったかを事後的に調査することができます。
個人投資家でも、理論上のコストと実際のコストを比較検証することができますが、個人投資家であるがゆえに売買総額がそれほど大きくないことから、調査費用と得られるメリットを考えると割に合いません。ですが、例えば簡単に数値を弾き出して発注方法を工夫するといった使い方は有効となるかもしれません。
実は、このTransaction Cost Analysisはあくまで経費節減の位置づけであり、究極の節約はゼロ=取引をしないという選択となります。コストを削るのは大事かもしれませんが、言うまでもなく取引をするかしないかの意思決定の方が上流プロセスにありますので、一つの取引毎のストラテジーの質を向上させることのほうが有益となります。リスクを取らなければ利益を得ることはできません。コストに見合わないリスクを回避することが、Transaction Cost Analysisのメリットです。
これは日本の政府債務削減とよく似た状況だと言えそうです。緊縮財政を進めることは大事ですが、緊縮財政は無駄を省くというだけの効果であり、やはり成長戦略を示さなければ国の未来はないということです。
しかし、強調したいことは、コスト分析で得られる結果からいかに多くの利益を上げられるか。決まったコストに対して最も効率のよいプロフィット分析を目指すほうがより建設的です。
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