CFD取引は、個人と法人で税率や課税の方式が異なります。それぞれの状況で最も利益を得るためには、税制や損益通算の仕組みを理解することが重要です。個人と法人のCFD取引の税制を比較してみましょう。
1. 個人でのCFD取引
個人でのCFD取引は「分離課税」となっており、以下の点が特徴です。
- 税率:所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%(合計20.315%)。
- 損益通算:同じく分離課税の先物取引(例:FX、先物、オプション取引など)とのみ損益通算が可能。
- 繰越控除:3年間の損失繰越控除が可能です。
個人の場合、総合課税の適用を避け、定額の税率20.315%が適用される点が利点です。ただし、他の所得(例:給与所得や不動産所得)と損益通算ができず、CFDに限定した損益通算となります。また、節税や投資の柔軟性に制約があります。
2. 法人でのCFD取引
法人でのCFD取引は「総合課税」となり、法人税の課税が行われます。法人がCFD取引を行う場合、事業活動の一環かどうかで税務上の処理が異なります。
- 事業活動として行う場合:
- 法人税(15~23.2%、中小法人の場合、800万円以下の所得に対して15%の軽減税率適用)。
- 住民税(都道府県と市区町村による)と事業税が追加されます。
- 損益通算:他の事業所得や事業にかかわる損益との通算が可能。
- 繰越控除:赤字は翌期以降10年間の繰越が可能。
- 事業活動に含まれない場合:
- 法人のその他収益として扱われるため、事業活動以外での課税が行われ、利益は法人税の対象になりますが、損益通算や繰越損失控除の対象外です。
法人で行う場合、損益通算の範囲が広がり、他の事業で生じた収益や費用と通算が可能です。特に、損失が出た場合には翌期以降に10年間繰り越して控除可能である点が有利です。ただし、法人課税は所得が大きくなると税率が高くなり、個人の20.315%に比べて不利になる場合があります。また、法人維持のコストも考慮する必要があります。
3. どちらが得か?
最も得な方法は、CFDで安定して利益を出せるか、損益通算の範囲、及び所得の規模に依存します。
- 小規模の所得や専業トレーダーの場合:
- 個人での分離課税が有利です。法人設立の費用や運営コストを回収するほどの利益がない場合、個人の20.315%での課税がシンプルで低コストです。
- 大規模な利益が出る場合や他の事業所得がある場合:
- 法人での総合課税が有利です。他の事業との損益通算ができ、損失が出た場合も10年間繰越が可能です。特に法人の実効税率は、一定の条件下で個人の税率を下回る場合もあるため、法人化でのメリットが出ることが多いです。
法人化は費用がかかるため、法人化のメリットがコストを上回るような、安定した高い利益や他の事業との相乗効果を期待できるケースで、効果的な選択といえます。