平常時の相関とボラティリティだけでは、急変時のポートフォリオリスクを過小評価することがあります。複数ポジションの相関上昇とボラティリティ拡大を同時に与え、実効エクスポージャーと損失幅がどう変化するかを測る方法を整理します。
平常時の分散効果は固定ではない
複数のポジションを保有していても、それだけでリスクが分散されるとは限りません。市場が安定している期間に低かった相関が、急変時には同時に上昇することがあるためです。さらにボラティリティも拡大すれば、名目上のポジション量を変えていなくてもポートフォリオ全体の損益変動は大きくなります。平常時の相関行列だけでリスクを判断せず、条件が崩れた場合の合算リスクを別に測る必要があります。
相関と変動率を同時に動かす
ストレステストでは、過去リターンから各ポジションのボラティリティと相関を計算し、通常状態を基準にします。次に相関を高めたケースと、各資産のボラティリティを拡大したケースを設定し、両方を同時に反映したポートフォリオ分散を再計算します。見るべきなのは個々の損失額だけではなく、同じ方向へ動くポジションが増えた結果、実効エクスポージャーがどこへ集中するかです。
リスク寄与度の変化を記録する
各ポジションが全体の変動へどれだけ寄与するかを通常時とストレス時で比較します。平常時には分散されていたリスク寄与が、特定の資産群や共通ファクターへ集中するなら、見かけ上の銘柄数より実質的な分散度は低いと解釈できます。日次や時間足で相関行列、ボラティリティ、リスク寄与度を保存しておけば、その集中が一時的か継続的かも確認できます。
約定コストまで含めて検証する
急変時には価格変動だけでなく、スプレッド拡大やスリッページによって実際の損失が理論値から離れる可能性があります。そこでストレス時の評価では、価格変動による損益と執行コストを分けて記録します。相関上昇、ボラティリティ拡大、執行コスト悪化を重ねたときに合算リスクがどこまで変化するかを測れば、通常時の数値だけでは見えないポートフォリオの弱点を検証できます。






