金融市場全般を網羅しての解説を試みていましたが、全般を見据えた上での暗号資産フォーカスの方が差別化が図れると考えております。トレーダーのための市況解説と、その中での暗号資産の位置づけはどうなのかをこのマーケット解説にてお届けできればいいなと思います。もちろん、トレーダーは何をトレードしてもよいですので、今ホットな話題や妙味のある商品を取引するべきですし、暗号資産が動かなければ無視するのも手です。別途、暗号資産に特化したさらにディープな分析も検討していますのでその草案を練る予定です。
5月21日(金曜)の米国の主要3指数はまちまちの結果となった。欧州のドイツDAXとフランスの株価指数CAC40はそれぞれ0.44%、0.68%の上昇となったが、英国の株価指数であるFTSE100は木曜とほぼ変わらないマイナス0.02%で取引を終えた。いずれの指数も直近の高値圏を狙える範囲にあり、欧州のコロナに対するワクチン接種状況や経済状況の好転が期待されての上げ相場が続いている。米国の10年債利回りは微減で、ゴールドは続伸し1,880ドル近辺での推移となっている。画像の通り、ゴールドは1月上旬が高かったが、じりじりとその射程圏内へと駒を進める。伝説の投資家チャールズ・エリス氏は、突然のインフレが債券や株式に打撃を与えると警告しており金融市場への注視が必要なタイミングであることは間違いない。
【ソース】Trading View ゴールドの日足チャート
ドル指数は0.3%プラスとなり相対的にEURUSDは弱含みとなった。ただ、ユーロ円も下げていることからユーロそのものが弱いと見る。新興市場のインドNifty 50がパンデミック状況が落ち着いてきたことにより上向きとなっている。
暗号資産は日曜も総崩れの展開となり、特に中国のマイニング規制や取引の禁止による報道が大きい。この報道に関してHuobi グローバルはすぐに対応をした。これまでも中国の規制に関する報道はあったが、今回に限っていえば、発言した人物が中国副首相の劉鶴氏(りゅうかく)だったことがそのインパクトの大きさを物語る。SNSでも暗号資産マーケットに関する悲観的なコメントが拡がり、センチメントは最悪レベルである。現在のマイニングの算出状況は中国がビットコイン総量の半分以上を占めている。この報道に関して、マイニングプール「BTC.top」の創設者兼CEOは、中国本土の消費者向け仲介サービスを中止するとコメントした。
ビットコインの直近の天井は米コインベース上場の4月14日から既に1ヶ月あまりを過ぎた。JPモルガンのストラテジストがビットコインに関して6万ドル台をすぐ回復できない場合は趨勢を削ぐことになるとのコメントに信憑性が帯びてきたことになる。2018年のビットコインの停滞が始まった頃は、激しい上昇と下降を繰り返しながら結局最高値に到達することはなかった。2017年にも中国の大きな規制報道があったが、その頃はいったん下落した後に2万ドルの高値に達したとの反論や、ファンダメンタルズは何も変わっていないという強気派の声もある。ビットコインのドミナンスレートは5月19日に反転を見せ、現在は46%となっている。アルトコインから軒並み資金が引き上げられているといった「アンワインド」が発生している状況であろう。
【トレード妙味のある銘柄】
ビットコイン
イーサ
ゴールド
【マーケット解説の注意事項】
以下のポイントを考慮しながらお読みください。
①それが一過性のものなのか
②継続するものなのか
トレーダーとしての心構え
・「物事が起こってからの解説」はただ単に読むだけでよい。予測の力量やトレードの成績には影響しない。
・「今」のマーケットの動きは説明できない。
・方向性がわからなくても儲けることは可能。
・アナリストやストラテジストが「上がる」と説明しているマーケットに対して、戻りや調整局面に対して利益を出すことができる。
トレーダーは市場原理を知らなくても勝てる人は勝てる。トレードに直結しないマーケット解説や市場分析のみの人と、そうでない私のような考えの人が書いたレポートとでは少しスタンスが異なるはずです。が、やはり私が書いても表面的には「一般的な市況と変わらない」のはやむなしと捉えて下さい。