マクロ・ベット(賭け)
マクロ・ベット(賭け)とは、相場の方向性を予測することに近いです。予測を当てるためには経済、金融、政治等の材料を集めて、総合的な判断を下します。一般的にわかりやすい手法ですね。個人のおじさんが取り入れる手法でもあります。ただし普通のおじさんは世界の金融商品にアクセスできないので、この場合は「国内マクロ」とでも言うでしょうか。
マクロとはマクロ経済を意味していて、世界の経済動向や資金の流れの全体像を見ます。ヘッジファンドの手法の一つ、グローバルマクロと言えば何でもありの手法でもあるのですが、やはり世界の経済動向や資金の流れに賭けてファンドを運用します。例えば、原油が上がると判断すれば原油先物を買う。フランスの経済がよくなると思えば株価指数であるCACを買うと言った具合です。
材料を集めるのは大変と思われがちですが、案外そうでもなくほとんどすべてが公開情報の組み合わせなので、わかりやすく言えばニュースをしっかり読んで筋道を立てて解釈するという感じでしょうか。いわゆる情報戦ですが、どちらかというと早耳を効かせるというよりは情報やニュースに基づいて総合的な判断を下す、様々な情報を解釈して機知に富んだ行動をするというところに重点を置いています。
グローバルマクロ手法と売買タイミングを取るテクニカル分析を組み合わせればよい優位性が築けそうです。センチメント指数や建玉情報等も取り入れられれば他と差別化されたパフォーマンスを上げることも可能です。
CTA型の短期売買
CTA型の短期売買を説明します。CTAはCommodity Trading Advisorの略で商品取引アドバイザーを意味します。商品先物に限らずあらゆる先物を売買します。グローバルマクロに似ている手法ですが、もっと時間軸が短期に傾いていて、デイトレードレベルのトレーディングも行います。FXの短期売買トレーダーがこれに近いです。トレーディングに特化したプログラミングはできますし、データ分析もこの範疇です。HFT(High frequency trading:高頻度取引)の一歩手前です。
さて、これら手法は似ているようで非です。手法の決定的な違いと各分野におけるエキスパートは見事に違いますので混同しないで下さい。混同すると私みたいな中途半端トレーダーになっちゃいます:)
両者の違いと差別化
グローバルマクロトレーダーは、日中のアノマリやイレギュラーなデータを重視しません。どんなに短くても思考スパンが一日なので、経済指標の発表時間帯など、順番は別ですが、それほど気にしません。一日の上下変動がノイズです。詳細分析が不要なので、プログラムをするメリットがほとんどないです。それよりもニュースに対する感応度のほうが重要でしょう。他人の誤発注なんか絶対に気にしません。
CTA型の短期売買トレーダーはほとんど真逆です。まず、驚くことに基礎となる金融知識がほとんど不要です。経済指標の発表時間帯やどんな経済指標の反応が大きいかくらいで、中身はどうでもいいとなります。トレンドフォロー戦略を取るところも多いですが、プログラム判断で買いと売りが条件分けされるので、例えば銅のポジションを持って儲かっているとしても、実は上がっているのか下がっているのかは二の次です。こんな状態ですから、上がる材料や下がる材料は単なる雑談の話題程度にしかなりません。
時間を割くべきところはデータの精度を高めることと、分析を通してのアノマリの発見です。それこそ「火曜22:00〜22:15は前日が上昇した場合のみ、NY原油が下落する傾向にある」という根も葉もないマーケットの癖を重視します。相場の癖が収益源ですから、日中にトレンドが出始めて極端な方向に傾いた場合や、誤発注なんかがあれば収益が上がることでしょう。これらすべてプログラミング化していますので、動きを捉えられるときもあれば逆方向にいってしまう下手くそな売買をすることもあります。それらを全てひっくるめてのプログラム売買を活用しています。
両トレーダーの主張
トレーダー同士の意見交換は重要だと思いますが、独立したトレーダーが考えを同じにすることはまずありえません。それぞれの考え方が確立されているからこそ合わない部分は必ず出てきます。八百屋のスペシャリストとリフォームのスペシャリストの考えが合わないのと同じです。
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