FOMC前後では価格変動だけでなく、スプレッド拡大や板の薄さが約定コストを押し上げます。政策イベント時のBid-Ask、ティック頻度、スリッページを記録し、通常時との違いを数値で測る方法を解説します。
政策イベントでは価格より先に約定環境が変わる
9月16日のFOMCを前に、米10年債利回りは5%台へ上昇し、原油高とインフレ警戒を背景に利上げ観測も強まった。こうしたイベント局面では方向予測に注目が集まりやすいが、実際のトレード損益にはBid-Askスプレッドや板の厚み、注文到達時の価格変化も影響する。
マーケットメイカー側から見れば、発表直後は次の適正価格を推定しにくい。古い価格で約定すると不利になる逆選択リスクが高まるため、提示数量を減らしたりスプレッドを広げたりする合理性が生じる。
スプレッドは平均ではなく分位点で見る
検証では、平常時とFOMC前後でスプレッド分布を分ける。例えば発表60分前、10分前、発表後5分、30分という窓を設定し、中央値、90%点、95%点、最大値を記録する。
平均スプレッドだけでは、数秒間だけ急拡大する尾部を捉えにくい。EAがその瞬間に発注すれば、通常時のコスト前提は崩れる。ティック間隔や1秒あたりの更新回数も保存すれば、価格更新が増えたのか、逆に板が薄くなって飛びやすくなったのかを区別しやすい。
実約定との差まで記録する
重要なのは提示スプレッドだけではない。シグナル時のBid・Ask、発注時刻、約定時刻、実約定価格を保存し、スリッページを別に測る。
例えばスプレッドが2倍、スリッページが3倍になれば、バックテストで固定コストを置いた場合との差は大きい。発表前後だけ取引を除外するのではなく、通常時とのコスト倍率を算出すれば、そのEAがイベント流動性にどれだけ依存しているかを確認できる。
まとめ
FOMCのような政策イベントでは、価格方向だけでなく約定環境そのものが変化する。測るべきなのは、スプレッドの中央値だけでなく上位分位点、ティック頻度、発注から約定までの価格差である。
ニュースを売買シグナルとして扱うのではなく、流動性がいつ薄くなり、どの程度コストが膨らむかを記録する。そうすることで、政策イベントを価格予測ではなく執行リスクの問題として検証できる。






