トレーダーとシステムエンジニアの根本的な考えが合わないのではないかと思い始めました。これは、双方ともにその道を極めた者だとし、同じ場所で仕事をすると想定した場合です。トレーダーとシステムエンジニアが同居するので、大体が運用業務となるでしょう。
まず、独立したトレーダーというのは投資哲学というのが備わっていて、これは誰も曲げることはできません。なぜならば、投資哲学そのものがトレーダーの存在意義だからです。私も投資哲学というのを持っています。投資哲学自体は変わらないのでシステム化、プログラム化できるものだと言いたいですが、間違いなく抽象的な概念なのでシステム化、プログラム化は実際のところ無理です。
そのため、投資哲学の下位層=投資手順・作業はシステム化、プログラム化をシステムエンジニアにお願いすることになります。投資手順・作業量が多くなり、システム化、プログラム化のメリットが大きいからです。しかしながら、この投資手順・作業というのが変更ありまくりの、例外が発生しまくりの、むしろわざと(トレーダーが)投資手順・作業を複雑化させようとします。これは、単調な投資手順・作業だけだと市場に読まれやすくなるからです。
一方で、優秀なシステムエンジニアは常に作業、労力を最小化させるようシステムを組み込もうとします。トレーダーに頼まれた投資手順・作業は腕をふるう機会が十分にあり、システム化、プログラム化のメリットが十分にあります。初期段階では双方とも特に満足度が高いです。
さて、完成したのはいいですが、次は上述のように変更や修正が日常的に発生していきます。うまく正規化できていければいいのですが、その自由度は逆にシステムの複雑さが増し、かつ日常的に改修が発生するために「自動化」の意味が薄れていきます。あれ?システム構築というよりは、これって作業やってないか?となってしまうのです。
トレーダーの立場が強い場合はシステムエンジニアが作業員のような立ち回りとなり、システムエンジニアの立場が強い場合はシステムが硬直化してしまってアルファが稼げなくなってしまうのです。なんとも皮肉なスタンスと言えます。
さて、うまく行くにはもちろんお互いがお互いを尊重し、強みを十分に発揮させるということにつながります。システムトレーダーは、この2つのスキルを併せ持っています。特にエンジニア出身のほうが割合が多い傾向ですが、自分はどちらの考えに傾いているのかを知っておくことは今後の効率的な運用につながります。一度、じっくりと自分の性格を考えてみてはいかがでしょうか。
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