Constant Proportion Portfolio Insurance(CPPI)ポートフォリオ戦略は、ポートフォリオを構築する上で、リスクを抑えてかつリターンを追及するという曲線を描きます。ポートフォリオインシュアランス=保険型ポートフォリオとも呼ばれています。
わかりやすく、単純なモデルを考えるとします。株と現金を50万円ずつ、合計資産100万円を持っていると仮定します。比率は50:50です。これを基準にして、株価が50%上昇すると、株:現金=75万円:50万円の合計125万円の資産になります。この時点で、更にリターンを追及するために現金から株に資金をシフトします。例えば、25万円を移動しますと、株:現金=100万円:25万円となり、株価が上昇すると更なるリターンを得ることが可能です。
次に、当初の時点から株価が50%下落すると仮定しましょう。株:現金=25万円:50万円の合計75万円の資産になります。このとき、下落リスクを回避するためにリスク資産である株の資金を現金にシフトします。例えば、20万円を移動してみましょう。株:現金=5万円:70万円となり、株価が0になったとしても手元に70万円残る計算になります。
以上が、CPPIポートフォリオ戦略の大まかな考え方です。
特色
・損失が限定される。
・利益の最大化を目指せる。
・曲線が上下する場合に損失を被る。
トレーディングシステムの性格はこのCPPIポートフォリオ戦略と非常に相性がいいと思います。というのは、優秀なトレーディングシステムであれば、右肩上がりの損益が続く可能性が高く、逆にダメなトレーディングシステムは全く利益が出せない傾向にあります。この考えに基づいて、優秀なトレーディングシステムには更に資金をシフトし、ダメなシステムは資金を減らしてポートフォリオ調整を行います。通常のポートフォリオと違って、更に有利な点はポートフォリオ調整を行うのにコストがかからない点です。例えば、株の調整を行う場合は、売買の際に手数料等のコストが発生しますが、システムのポートフォリオ調整を行う場合はコストが発生しません。トレーディングシステムは、既にコストが引かれた後の損益曲線だからです。
このCPPIポートフォリオ戦略にも欠点はもちろんあります。損失限定&利益加速と、一見して良い戦略に見えますが、株価が上下するようにボラティリティの大きい値動きの場合は、この戦略が必ずしもベストであるとは限りません。上下に動くときや全くトレンドが見られない場合は、他のポートフォリオ戦略と比べると損失を被りやすいわけです。つまり、トレーディングシステムの調子が一本調子である場合はこのCPPIポートフォリオ戦略が良いのですが、気まぐれで損失の後に大勝ちするような性格の場合にはこのポートフォリオ戦略は向いていません。
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