理論モデルとノイズ

トレーディングで最も難しいことは損失を確定することだと言われます。確かに、儲けるために行動を起こし、その結果が無駄に終わるということを人間はものすごく嫌います。骨折り損のくたびれ儲けならまだマシなのですが、骨折り損のくたびれ損で更に金も減るという何ともいたたまれない状況に陥ります。
その状況を回避しようとし、例えば、株を買って株価が下落したときでも頑固に持ち続けて最後は逆ギレの売りさばきで事を全て終える、という行動を取ってしまいがちです。その後、コツコツと株価は戻ってしまうというのも皮肉な話ですが、こういう株価の戻りを期待するからこそ、ずっと持ち続けてしまうというループに陥ってしまうのもイタシカタナイところです。
このような投資家心理は今も昔も変わらず、今後も変わることはないでしょう。つまり、最も信頼できるシステムはマーケット心理をうまく組み込んだものであるということが言えそうです。

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マーケットの値動きは、通常は理論通りに動いて金利、為替、景気、政策その他の変数により説明できるはずです。しかし、そのマーケットを動かす参加者は個々人の心理に影響されるばかりか様々な制約、エラーによりノイズを伴うことになります。わかりやすい例で、これまでもいくつかの発注事件があったようにマーケットは理論通りには動かないわけです。
典型的な学者が理論値に基づいたモデルを用い、「マーケットは間違っている。自分は正しいはずだ。」と主張しながら沈んでいくというのもよく聞く話です。マーケットというものは行き過ぎるものであり、予測をはるかに超えるものであり、上がりそうなときは下がるもので、動かないときは全く動かないものです。そう思っていれば急に動き出すというつかみ所のないものです。ですから、理論値に基づいたモデルを用いた場合で現実の値がそのモデルから乖離している場合は、どちらかというと更に乖離する方向に賭けるくらいのセンスがトレーダーには必要となってきます。でも、長期的に見れば理論モデルに収束するはずですから、そのタイミングも間違わないようにしないといけません。トレード稼業は難しい仕事ですね。

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