市場には、マーケットメイカーが売買気配を提示するクォートドリブン方式と、顧客のオークションにより成り立つオーダードリブン方式があります。いずれもメリット・デメリットがあるわけで、主に流動性を維持するためにこのような方式を取っています。
例えば、東証は純粋なオーダードリブン方式を採用しており、市場参加者同士で市場をメイキングしないと成り立たないようになっています。このオーダードリブン市場で流動性を提供する注文というのが指値注文であり、逆に流動性を枯渇させる原因となる注文が成行注文です。正確には、板を食う指値注文も流動性を枯渇させる注文であり、成行注文と同じと考えてよいでしょう。基本的には、市場での注文は指値と成行のみが存在し、指値×成行の組み合わせのみで約定が成立します。(複雑な注文も分解すれば必ずこのような形態になります。)
米国では、流動性を提供する指値注文にリベートを支払うことで指値注文を歓迎します。一方、成行注文や板を食う指値注文は流動性を枯渇させるので歓迎されていません。最近、HFT(高頻度売買:High Frequency Trading)が活発となり注文件数が倍増しています。HFTトレーダーは、流動性を提供していることで社会貢献していると主張していますが、取引手法が板を食うような取引ですので、どちらかと言えば流動性を枯渇させていると言った方が正しいことになります。余談ですが、2010年5月6日に起こったフラッシュ・クラッシュはHFTが原因だ、とされているのもこのような性質があるからです。
日本の市場では、HFTにより積極的に利鞘を取ろうとする市場参加者がまだ少ないように思えます。機関投資家のアルゴリズムトレードが増えてきたとはいえ、こちらはVWAPなどを基準にした指値主体の注文形式でもありますので流動性を提供する側ではないかと考えると、短期売買で勝負するときには成行注文のほうが有利な気がしています。指値で出すのは、安い値段で買いたい・高い値段で売りたいという心理的な安心感のみが得られる一方で、約定できないといった弊害がもたらされることになります。
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