発注コストは、ブローカーに支払う手数料や利益を上げたときに納める税金だけではありません。更に掘り下げて考えてみますと、マーケットインパクトによるコストと機会損失によるコストが挙げられます。
マーケットインパクトによるコストは、トレードシステム業界ではスリッページと呼ばれ、発注の執行に伴って約定を希望する値段と実際に約定した値段の差のことをいいます。マーケットインパクトによるコストは、指値注文を出すことにより、ゼロにすることができます。
続いて考えられるコストが、機会損失によるコストです。上記のように、指値注文ではマーケットインパクトによるコストをゼロにすることができました。しかし、指値注文では、その分だけ機会損失によるコストが最大となってしまいます。例えば、指値注文の値段をマーケットの価格がタッチしたとしても、そのまま約定せずに値段のみが利益(が出るであろう)方向に向かっていくことだってあるのです。
この機会損失によるコストをゼロにする注文が成り行き注文です。成り行き注文は、他のどの注文と比べても迅速ですが、マーケットインパクトによるコスト+Bid Ask差も考慮に入れないと、実際に取引するときにはその分の損失を被ることも考えられます。
以上のように、細かい部分を注意深く観察することにより、疑わしいトレーディングシステムであるのかどうかを判別することができます。指値で発注しているシステムで、必ず指値の値段で約定することにしているシステムはたとえシミュレーション結果が良くとも注意が必要です。
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