取引所取引は、取引所によって制度が異なるのが一般的です。例えば、アジアと欧米の違いとして昼休みの有無があります。その他にも、国内と海外の大きな違いとして終値と清算値の扱い方というものがあります。
MOCオーダー(Market on Close)をブローカー経由で投げた場合、日本の取引所で成立するプライスは一本値、誰が出しても同じ値段で約定します。これは、ある時点で注文を締め切って、全員の注文状況に応じて板を合わせるからです。
対して、たいていの海外市場では少し様子が異なります。全員が同じ終値で約定するようなことはまずありません。MOCオーダーは、クローズレンジ(Close Range:マーケットの閉まる大体30~60秒前から)で成り行きを出す注文に切り替わります。ここでいう終値というのは、最後に約定した取引のことを指し、後から見てこの値段で必ず約定できたのだという保証はないのです。例え一枚での約定でも、その値段で終わったのであれば、その値段が終値だということになります。
こういう理由により、値洗い計算には終値を使うことは当然なく、清算値(Close Range内で計算された値)を値洗い計算に使います。結果的に、清算値で実際の取引が無かったとしても、この値を清算値として使うこともあるわけですが、終値で計算するよりはよほど信頼度が高いです。よく新聞のマーケット欄で海外物には終値と清算値が載っていますが、終値と清算値はこういう違いがあるということです。
バックテストには終値ではなく清算値を使ったほうが良いかもしれません。もしくは終値を清算値へ修正するということも考えられますが、厳密にデータを修正するのは困難でもありますから、終値に依存しすぎないシステムを作成するということを心がけることも大事です。或いは堅牢性のチェックで、終値を使った場合とクローズ5分前のプライスを使った場合で成績のブレを比較するのもおすすめです。終値を使うなということではありませんが、終値というのはこの程度の信頼性しかないというのを知っておいても損は無いと思います。
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