損益曲線シミュレーション ~ブラウン運動からの考察~

Excelを使ってブラウン運動をプロットし、そのグラフをトレーディングシステムの損益曲線と見立てて考察します。乱数を発生させているので形が一定ではないですから、例をそれぞれ3つずつ挙げておきます。

まず、400回のトレーディングを行ったと仮定します。優位性がある場合、多少のバラつきはありますが曲線は上昇していきます。これが2000回のトレーディングを行った場合、ほぼ綺麗な曲線で推移していくことになります。

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優位性あり、400回

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優位性あり、2000回

これは「優位性がある」と仮定した場合の曲線なので、その優位性が続く限り回数が多ければ多いほど利益を積み重ねていきます。また、少ない回数の曲線を見ていただいたらわかると思いますが、右下がりの時期もある一方で損をしている時期もあります。「優位性がある」と仮定した曲線でもこのようなことが起こりますので、「システムに自信がある時は、結果が駄目でもシステムを継続しなければならない。」と言われるのも納得していただけると思います。

では、「優位性がない」とした場合=勝つも負けるも半々だと仮定した場合の曲線です。上側は400回、下側は2000回です。ここで気をつけなければならないところは、期待値はゼロでもスタート地点近辺を行ったり来たりはしない(心電図のようにジグザグにはならない)ということです。御覧のように、長期間にわたりプラスの方向に滞在したり、あるいはマイナスの方向に滞在します。細かく見ればトレンドができているようにも見えてしまいます。(更に手数料、スリッページを考慮すると、半々ですまない場合もあり、最初から負ける方向でトレードをしてしまっている状況に陥ることも考えられますので注意しましょう。)

厄介なのはこのようなランダムな状況の中での上昇曲線です。いわゆる丁半博打のようなものでも上昇曲線の前に乗っかれば、利益を得ることが可能です。ということはつまり、運だけで儲かっている人も出てくるというのが今回の結論です。運も実力のうちですが、勘違いをすることもありますので気をつけましょう。

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優位性なし、400回

inf2000_1.JPGinf2000_2.JPGinf2000_3.JPG
優位性なし、2000回

また、今回の件に関して読者であるichtrinkenさんからコメントを頂きました。
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大事なのは、株価の動き、損益の動きはランダムウォークに似ているが、完全には一致しないというところだと考えます。仮に株価がトレンド付きのランダムウォークをすると、終値で買って翌終値で手じまうという売買をした場合、この売買の損益曲線は、トレンドの周辺をブラウン運動します。利益が出るのは歴史的に見てマーケットにランダムフォークで説明できない正のトレンドがあるからです。この説明できない部分は非合理性といわれたりしますが、この非合理性のなかに負けの連続という事象が発生しうるということです。人間がやることですので、ランダムウォークしているときもあれば、何らかの意思をもって一方向に突き進むこともあるわけです。
ただグラフを見ればわかるとおり、トレンドがないまったくのランダムウォークでも、なるべく長い期間で見れば儲かっていませんが、一部の時期に限定するとあたかも非合理的な人間行動の様に一方向をめがけて上昇が連続したりする時期があります。今儲かっているのがランダムウォークによるものなのか、それとも優位性によるものなのかは結局長期間運用しないとわかりません。
更に付け加えると、今優位性のあるトレードシステムがあったとしても、その優位性がマーケットの非合理性によるものかランダムウォークによるものか科学的に説明する理論はないと考えます。その優位性が本当にマーケットの穴を突いたものだとしても近代経済学ではその穴はたちまちに埋められてしまいゼロサムであるとされています。結局、優位性の判断は長期の歴史的事実にゆだねるしかないですが、長期間有効であったからといっても人々の行動形態が変化すれば、その優位性も崩れてしまいます。
行動ファイナンスが注目を浴び、マーケットにおける人間行動の特徴がいろいろと解明されてきていますが、その特徴を利用して儲けようとする人がいる限りたちまちに穴は埋められてしまいます。行動ファイナンスが発展すればするほどに、人間の非合理的行動によるマーケットの穴は少なくなるという逆説的なことが起こってしまうわけです。
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以上、まとめると・・・
・トレンドのないランダムウォークでも、一部の時期に上昇が連続する現象がみられる。
=>儲かっているのがランダムウォークによるものなのか、それとも優位性によるものなのかは長期間運用しないとわからない。
・仮に優位性のあるトレードシステムがあると考える。
=>その優位性がマーケットの非合理性によるものか、ランダムウォークによるものか科学的に説明する理論はない。
優位性は不変ではありません。だからこそ、システムトレーダーは、勝つためにずっとシステムを作り続けないといけないのです。寝ていても儲かるという甘い話は存在しません。(ですが、寝ていて儲かっている時はありますけどね・・。これが未来永劫は続かない、ということです。)
つまり、トレンドのないランダムウォークでも、一部の時期に上昇が連続する現象がみられることがあるので、儲かっていてもそれは、ランダムウォークによるものなのか、それとも優位性によるものなのかはわからない。ですから、利益が数日続いたとしても天狗にならずに頑張りましょう。そして、優位性があると仮定する動きでも、短期では儲かっていない時期もありますので、苦しいときもあきらめず、今後も一回の取引で一喜一憂せずに頑張りましょう。というのが今回のお話でした。

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