損益曲線の滑らかさの追求

トレーディングシステムの構築において、開発者は損益曲線を滑らかにさせるルールを探索していくわけですが、システムの作成に熟練してくると、ある問題にぶち当たることになります。トレーディングシステムのシグナルには従っている、トレーディングシステムの作成もうまくなってきた、しかし、資産残高が思うように伸びなくなるのです。損失を被ることは少なくなりますが、極端な金持ちになることはかなり難しくなってくるのです。つまり、あるレベルを超えてくると、今度はリスクを取ることが必要で、ここからが、自身のトレーディングセンス(ビジネスセンス)が大いに問われることになります。

株式ポートフォリオ理論では、パフォーマンス変動のほぼ大半をアセットアロケーションで説明できるということですが、それならば選択するトレーディングシステムのポートフォリオも同様に重要なのではないかと私は思っています。ラリーウィリアムズの言葉で、「トレーディングシステムが機能しないのではない、トレーダーが機能しないのだ。」とありますが、まさにこれはトレーディングシステムに従うことの重要性を初心者に説いているだけではなく、うまくトレーディングシステムを扱えない上級システムトレーダーを戒めている言葉でもあると私は考えています。

ファンドのように他人の資本を運用しなければならない場合には、何かと制約があり、大きなリスクを取れない、すなわち大きなリターンを得るのが難しいということになりますが、もし自分で資産を運用しているのであれば損益曲線の滑らかさを追求するだけでは、とうてい一流トレーダーになりえないでしょう。ときには動的にリスクを取る行動も必要になってくるのです。もちろん、これはシステムのシグナルに従わないということを示しているわけではありません。システムポートフォリオのバランス、レバレッジのかけ方が資産の残高曲線に大きな影響を及ぼすわけですから、逆に損益曲線の滑らかさを追求しすぎるのはよくないのではないかという考えです。

第一段階:
目標は損益曲線を滑らかにすることで、リスクを減らすことを考えます。

第二段階:
目標は利益絶対額で、リスクを取ることを考えます。

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