投機とは価格の動きに反応して売買を繰り返すなど短期で絶対収益を狙う行為であり、投資とは、被投資対象者が提供資金を活用して経済活動を行うことを助ける行為であると解釈されます。投機に対する報酬はありません。投資に対する報酬は経済活動によって増加した利益還元であることから、投機はゼロサムゲーム、投資はプラスサムゲームとも言われています。
投資は善、投機は悪と見なされることも多いですが、投資のタイミングを円滑に行うには、流動性提供者が必要であり、その相手方となるのが投機家ですから社会的意義が全くないとは言い切れません。投機家の存在により、価格発見機能と投資タイミング機能がマーケットに提供されるわけです。
話を戻して、投機はゼロサムゲーム、投資はプラスサムゲームというのを噛み砕いて解説してみます。投資はプラスサムゲームだと言われていますが、これは確かにその通りかもしれません。
例えば、株価が上昇することによって企業は経済活動が社会的に評価されていると感じ、ますます実体経済に良い影響を与えるようになります。たまに経済活動に走り過ぎて社会に悪影響を及ぼす企業もありますが、社会的制裁や政府の規制が厳しくなるといったこともあり、いずれ打撃を受けることになります。利益を上げているうちは株価が上昇するのかもしれませんが、いずれ淘汰されることになり最終的に株価は下落、挙句の果てに証券価値が消失するということもあるのです。まとめると、企業独自の事情はあるにしても、投資というのは基本的にプラスサムゲームです。
一方、投機はゼロサムゲームと言われていますが投機というのは時間軸を限りなく短くしたものだとみなすと、被投資対象者の経済活動には何の影響も及ぼしませんので配当収益等は発生しないものだと仮定します。となると、発生するのはコストだけでありゼロサムゲームというよりはむしろマイナスサムゲームであるとも言えます。
投機はマイナスサムゲームであり、その中で勝つのは更に難しいのですが勝つのが難しい、利鞘を取るにはコストがかかると思われているからこそ価格の歪みが発生し放置されるのも事実であり、その事実と人々の思惑が絡んでマーケットは巨大な賭場と化します。その中を、冷静に歪みを捉えて是正していくのがシステムトレーダーの役割と言ってもいいでしょう。システムトレーダーの収益源泉は市場のGreed and Fearと他者のReckless Behaviorです。
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