イエール大学のシラー教授が提唱する国家株「トリル」というのは、国債などと肩を並べるであろう国家の資金調達方法であり、GDPの1兆分の1(1 trillionが語源)とリンクした株式です。企業の株式と同様に機能し、国民は出資という形で国家に投資をします。デフォルトが起これば紙屑同然になるのですが、国債発行=借金として将来世代へ禍根を残さないという意味で画期的であるといえます。また、国家株に投資をすることで国の発展が個人資産の増加となるわけですから、より社会に貢献するというモチベーションの増加にもつながることだと思います。
このように、社会に対してクリエイティブなものを提案するというのは、今後の人類の繁栄に大事なことであります。ほとんどの発想はボツとなる可能性もあり、ときに淘汰される危機にも遭遇(今は欧州単一通貨ユーロ)するかと思いますが、それでも最善を尽くして歩みを止めないことは大事であると言えます。所詮は我々が戦っている資本市場、取引所制度、デリバティブも過去の方々が考え出した仕組みです。その小さな枠組みの中で、システムトレードなんぞを取り上げて個人資産の変動に一喜一憂をするのも悪いことだとは言えませんが、その枠組みから飛躍して思考を延長するのも我々の使命であるとも言えます。
今回の国家株「トリル」は創造性の代表例として取り上げていますが、その国家株「トリル」も問題がないとは言えません。というのも、国家株「トリル」はGDPが基準となっていますが、そのGDPで何が測定できるのかという疑問も生まれます。GDPが巨大でも、公害や劣悪な生活環境(休みがない等)で生活の質を見ることはできませんので、より満足な指標を提案するべきだという余地も残されているわけです。
ロバート・シラー教授に関しては、過去のエントリーで取り上げています。
ロバート・シラー教授の卒業スピーチ
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