株価指数で売買出来れば便利なのに、というニーズの元で開発された金融商品が株価指数先物です。株価指数先物は、原資産が株価指数であり最終的には株価指数の数値へと清算されるのですが、清算までの間の需給によってその価格が変動することが指数との違いです。株価指数はあくまで個別株の価格変動を数値化したものですので、その数値で売買できないということはつまり、集計した数値からは需給要因で乖離しないということを意味します。更にシンプルな言い方をすれば、需給要因で先物は原資産と乖離するということです。
株価指数とその先物の価格乖離の具体的な源泉は配当と金利であり、清算までの時間を計算することで理論価格を導くことが出来ます。配当と金利を加減する根拠は、いわゆる先物のコンセプトが契約であることから先物価格に配当分及び金利分が発生しないことに基づきます。どちらをどう加減するのか直観的に判断できない場合は、こう考えてみることをお勧めします。
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現物には配当が発生する。=先物には配当が発生しない。
・先物 + 配当 = 現物
現物は資金を必要とする。=先物は資金を必要としない。(証拠金を除く)
・先物 - 金利 = 現物
先物価格 = 現物価格 × 時間当たりの( 金利 - 配当利回り )
※理解優先のため出来る限りシンプル化しました。
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さて、以上のことを踏まえて本題に入ります。「需給要因で先物は原資産と乖離する」ということを考えると、理論的な先物価格は現物価格から計算できるわけですが、この現物価格算出の頻度が問題となるわけです。例えば、日経平均株価は15秒毎の更新となります。その15秒の間に売買は当然行われるわけですから公表値の日経平均株価から先物の理論価格を算出するのは遅いと言えるでしょう。
(※日経平均株価の更新頻度は2010年1月4日に1分毎から15秒毎となりました。)
また、全ての銘柄が活発に売買されているわけではありませんので、公表値の日経平均株価は実勢値とは違うということも考慮しないといけません。深く分析すればキリがないくらいなのですが、市場に参加しているのは所詮人間なのでどこかに必ずと言っていいほど収益機会は存在すると断言できます。コツコツと問題提起をして一つずつ解明していくのも面白いものです。
ちなみに、ヘッジファンド戦略のスタットアーブという手法は乖離した価格が収束するという方向に賭けます。現物と先物に限らず、理論価格と市場価格を計算する場面は様々で、その収益機会は無限であると言えるでしょう。スタットアーブ手法については後日まとめてみたいと思います。
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