金融業界でのリスクの定義はいわゆる変動であり、金融マン以外の一般の方々が思い浮かぶリスクの定義というのは損失と同じです。金融知識を持った方々とお話しするときは「リスク=変動」を意識しないと会話が進みません。しかし、常識から考えても上方リスク(儲かる方向への変動)は好ましいことでありますので、トレーダーで上方リスク(儲かる方向への変動)を嫌がる人はいないはずです。
以上の話を踏まえて、リスクとリターンの釣り合いについてトレーディングのレベルごとでまとめてみました。まず、ビギナーレベルですがリスク(損失)とリターンは釣り合っていません。リターンの方が大きいと考えているからこそトレーディングするのであり、しかもリターンを過大評価しリスク(損失)を過小評価します。口座資金の大半を証拠金につぎ込むので近いうちに破綻します。が、初心者ゆえの強みがあることも事実で、たまに口座の何倍にもなるビギナーズラックを経験する人もいます。
次に金融知識豊富なプロフェッショナルレベルです。頭でっかちと言ってもいいのかもしれませんが、リスク(損失)≠リスク(変動)ということを既に知っており、リスク(変動)とリターンは同じであると解釈します。ですから、効率的なマーケットでは超過収益を得られないと考えがちであり、超過収益を得るためのストラテジーを構築するモチベーションが低下します。リスク->変動、分散投資->推奨、ベンチマーク->インデックスと金融知識の固定観念に縛られ、本来の利益追求、損失回避といった本能的欲求を満たす行動を忘れがちになります。
理想的なトレーダーは、豊富な金融知識を持って確かなリスク管理を行い、勝負するべきところで大胆に振る舞います。マーケットに対する対応が俊敏であり、危険とチャンスを察知する嗅覚を持っています。理想的なトレーダーは、ポイント・タイミングさえ絞っていればリターンはリスク(損失)よりも大きいと感じています。
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