数理モデル構築とシステムトレードの基本(パターン発見)は似ています。しかし、これまで学校で習ってきたような訓練とは基本的な考えが違うということを理解しておくべきです。例えば、y=5xという計算式があるとしましょう。x=2の場合はyが10になるといった、計算そのものは簡単です。
y=5x (x=2のとき、y=10)
このように、与えられた式に対して計算をするといったことについて我々は違和感がありません。
しかし、数式を与えるということについてはどうでしょう。いまだに相場の値動きについては確固たる数式は発見されていません。日経平均の値動きがy=5xであることはありません。移動平均線というのも、ただの気休めで一応の指針をインプットしているだけであり、それによって相場が完全に予測できるようなモデルとは到底言えません。
これは、数式を与えることについて二つの障害が存在するからであるといえます。一つ目は、数式の知識が豊富であることが挙げられます。y=5xを計算する場合は、y=axという関数を知っていればいいだけですが、数式を与えることについては、y=axだけでなく、y=sin(x)、y=1/x等、とほぼ無限の知識が要求されるのです。また、知識だけあっても実際には使えません。それは二つ目の障害で説明をいたします。
二つ目は、その知識から適切なものを選択できることが挙げられます。どんなに物知りでも、曲線なのにy=axを当てはめようとしても到底フィットすることはありえないでしょう。数学的な知識とセンスがいるのが数理モデル構築ですが、システムトレードを構築する上でのセンスもこれに含まれます。しかし、関数知識だけでなく変数によってもアウトプットが違ってくるわけですから、いかに困難なものであるかはもはや想像ができません。
コメントを残す