さて、以前VWAPと機関投資家の行動という記事で機関投資家によるVWAP周りの行動について触れました。このVWAPの値段を基準にして何らかの価格アクションが出るのは主に個別株式の銘柄群です。特に日本の機関投資家というのはファンダメンタルズに基づいた伝統的手法がほとんどですので、割安であると判断されるような株はこの値を基準に買い支えられることが多いです。
ですから、まずは機関投資家が狙っている銘柄は何なのかというのをスクリーニングするというのがファーストステップだと思われます。恐らく考えられるのが、全体的な下落局面にありながらそれほど下げていない銘柄で、出来高が増えている銘柄でしょう。これはあくまで推測ですが、このようなシナリオを想像するというのも取引戦略を立てる上で重要です。
この機関投資家を基準にマーケットの動きを説明して見ましょう。マーケットの特徴を一言で説明するならば、下落は早く、上昇はゆっくりということがあてはまるでしょう。すなわち、買いを仕込む上で慎重に協議をし、その買い指示が執行トレーダーに割り振られて丁寧なトレーディングが行われるわけですから、この行動が上昇はゆっくりであるという説明を果たします。また、下落は早いということの説明ですが、多少の下落であれば喜んで買う機関投資家も大幅な下げは、お上(ポートフォリオマネジャーや投資ガイドライン)からのロスカットルールに置いて投げ売りせざるを得ないわけです。そのような特徴があるということを念頭においてトレーディングシステムを組むのもまた深みが出てくるのではないでしょうか。中期的な観測においてどの相場局面でも、下落は早く、上昇はゆっくりということを否定するような材料は出てきていません。
まだまだ伝統的投資の枠組みの中で「安いから買う」という基本ルールは健在だと思われます。運用報告書に載せるには、安い値段であればあるほど評価は高くなりますので。
でも、機関投資家はプロだからすごいのでは?と思っている方もいらっしゃいますが、あの方々はパフォーマンスを上げるのが仕事ではありません。あくまで投資信託を提供することで管理手数料や売買手数料をいただいたり、分散投資によって市場全体のリターンを狙う(β)という戦略を採用しているわけで、実際の運用力はそんなにすごくありません。目を見張るようなパフォーマンスを上げている投信や年金ってないですよね。
※資産運用会社のトレーディング執行
野村総研による第一回目の調査、第二回目も実施している
コメントを残す