ヘッジファンドを運営するには当然ながら資金が必要です。自分で用意できれば言うことはないのですが、ある程度の期間を任せてくれる預かり資産が見込めるのであればOKです。
ただし、運用がうまくいかない場合にすぐに資金を引き揚げられてしまう場合には、継続的な経営は困難ですので注意が必要です。というのも、急に資金を引き揚げるような事態になれば返金のためのキャッシュが必要になりますので、流動性の低いアセットクラスを取り崩さなければいけないようになり、思わぬ損失を被る可能性もあるからです。
そのようなことがないように、すぐに資金を引き出せないようロックアップ期間というものを設けて解約が出来ない契約を交わすのですが、違約金を払ってでも解約したいと顧客側からの申し出がある可能性もあります。リーマンショック時の混乱時などはまさにこのような事例であり、解約殺到、金融商品下落、資産目減りと悪い形で循環しました。
さて話は戻って、損益分岐点は、一人当たり預かり資産が10億円を目安として計算すれば安心です。これは管理報酬が1~2%という計算で人件費を含むランニングコストがカバーできるような資産です。成功報酬は、経営を占う予算計上には考慮しない方がリスク回避的です。
ちなみに、100億円の運用資産であるヘッジファンドがIT分野で競争力を保とうとした場合、その1%である1億円を年間コストとして計上するべきだと言われています。これはオフィスが国内に一つである場合を目安としたもので、複数のグローバルエリアにまたがる場合には10億円でも足りない可能性もあります
以上の話から、預かり100億円の運用資産でスタッフが事務員を含めて10人までだとまだ余裕はあります。しかし、預かり10億円で数人というのが、ヘッジファンドを始められる限度のようなもので、1億円ではなかなか難しいというのが現実です。
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