トム・デマークのTDインディケーター

トム・デマークのTDインディケーターはご存知でしょうか?初等数学を用いた比較的わかりやすいコンセプトを導入し、チャートのパターンに応じて相場を分析していきます。簡単な数式を使っていますが、刻一刻と変化するバー(ローソク足)によってアクションを求めますのでどちらかといえばかなりアクティブなインディケーターです。この辺りが普通のテクニカル分析指標と違うところだと言えるでしょう。特に、日足に限らず、どの分足でも機能するように標準化されていますので奥が深く、分析する価値はあります。

トム・デマークのコンセプトは「マーケットは、長期的にはファンダメンタルズが支配するが、短期では心理が支配する。」というもので、マーケット・タイミングを100%信じ、いわゆるテクニカル分析を土台にダイナミックなインディケーターを提供し続けています。デマーク自身は私が研究しているものはシステムではなく、インディケーターだ。ということを明らかにしていますので、TDインディケーターはそのままシステム化して運用するというものではなく、背後に隠された意味を分析し考察するのに適しています。

ポール・テューダー・ジョーンズがテクニカル分析のエキスパートを探していたとき、パートナーとして選ばれたのがトム・デマークでした。事実、デマーク・インディケーターは詳細を極めかつ実戦に耐えうるものであり、大手ヘッジファンドも採用していた深いテクニックであったと言えますが、この手法も残念ながら世に出て30年ほどの年月が経ち、様々な相場要因によって単純に反応することはなくなりました。だからこそ、デマーク自身も提供するインディケーターが不変のものであるとは思っておらず、状況に合わせた改良が必要だということを述べています。

パンローリングからデマークのチャート分析テクニック(原書:New Market Timing Techniques)が出ていますが、有名なThe New Science of Technical Analysisと双方とも約10年以上も前の出版です。それ以降、トム・デマークは本を出版していません。しかし、本人の出版ではないですが、Jason PerlのDeMark Indicatorsという本が2008年の9月末に発売されました。いわゆるデマークの弟子のような方で、主要インディケーターはコンパクトにまとめられて、図表の挿入も多いですし読みやすいです。それでいて安いですし、ページ数も少ないですし、最新であることから2008年前半までの相場状況にも適応して開設されています。これまで、デマークが生み出したものの機能しなかったパラメーターや指標はバッサリと切り捨てられています。これからTDインディケーターを分析したいと考えている方には最適だと思います。

ただし、気になることを一つ。フィボナッチ級数が暗黙的に使われていることが少々理解できません。納得できるような説明もなく、ただ単に語呂がいいから使っているだけのような気がしています。ただ、我々は学者ではないので裏打ちされたロジカルな説明がなくとも儲かるのであればよいという柔軟性も必要なので、全く否定するのもよくない話です。この辺は使う方にお任せしたいと思います。(例、0.618 – 0.382 = 0.059 デマークの研究により0.0556が最適だと結論付ける。この値を基準に上下のバンドは105.56%と94.44%としています。えっ???)

Print Friendly, PDF & Email

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

当サイトは、システムトレードに関する専門的な知識、技術、経験を皆様と共有することで、真剣なトレーダーの方々にインスピレーション(アイデアの源泉)の供給をいたします。トレーダーの競争力強化に焦点をあて、トレーディングシステムの構築を目的としてその普及に貢献します。 詳細は「概要とサービス内容」をご覧下さい。 ご要望はこちらで承ります。