テクニカル分析でのオシレーター(oscillator)という分類のインディケーターは振動という意味を持ち、マーケットの大局的な流れではなく突発的な動きやその方向を指し示します。種類は豊富で説明しだすとキリがないのですが、そのうちの「モメンタム」に注目して話を進めていきたいと思います。
X期間のモメンタム = 当日の価格 - X期間の価格
式だと難しく感じるかもしれませんが、これは、【今の値段から前の値段を引いただけ】の至極シンプルなものです。以下の例は、日経225先物のモメンタムストラテジーを採用したトレーディングシステムの損益曲線チャートで、X期間=10日としています。
銘柄:日経225先物、検証期間は5年間(30分足)、取引回数は1537回
買いのストラテジー
・10期間モメンタムが正であり、前の10期間モメンタムより大きいこと
・前期間の高値+1ティックでストップ注文し、大引けで仕切り
売りのストラテジー
・10期間モメンタムが負であり、前の10期間モメンタムより小さいこと
・前期間の安値-1ティックでストップ注文し、大引けで仕切り
私は、以前から【X期間】というのに違和感がありました。相場にサイクル規則性はないのになぜ固定値を使う必要があるのかというところと、モメンタムの式は簡単すぎるというところです。これで儲かるシステムが出来るとは到底思えません。この【X期間】を調整するような何かを理論的に考えたいと以前から思っていましたが、まだ見つけられていません。良いトレーディングシステムは、マーケットに応じて自動調整機能が携わっているもので、仮に値段が100倍になっても、あるいは100分の1になったとしても機能するようにシステムを構築することが理想です。
一般的なテクニカル分析指標はシステムトレーディング開発の基礎となるものだとは思いますが、あまりに大衆的になってしまっているので、もはや儲かる手法ではありません。儲けられない手法に成り下がった以上、盲目的に指標の解釈を使って相場を説明することは控えた方が良いでしょう。そのようなテクニカル分析の使い方は何の意味も持ちません。
テクニカル分析がつまらない原因は、それで儲けられないからだという理由が一番大きいのです。テクニカル分析と賢く付き合うには、基礎を学びそれをどう発展させるかと常に考えることです。自動調整機能の必要性に直面し【X期間】を自分自身で探し出すのもその一つの使い道です。
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