【トレーディングシステムで儲けを残したい】
トレーディングシステムが機能しなくなったとき、当然そのトレーディングシステムをストップするわけですが、ストップするときにはトレーディングシステムによって得られた利益を残しておきたいと思うのが自然な考えです。つまり儲かった状態でトレーディングシステムを廃棄したいという心理が働きます。
しかし、この考えは投資に対する元本保証のようなものと似ておりシステムトレードに関しては危険な考え方です。トレーディングという行動はリスクを取る行為であり、リスクを取るということは当然ながら損失が発生することもありえます。この損失の発生確率をゼロにしたい、と考えるのであればリスクを取ることにはならず、その結果として上限リターンは最小限に抑えられて損失ゼロ分のコストを余計に支払うことになります。
つまり、元本保証と上限リターンの組み合わせは、そのリターン獲得に失敗した場合、リスクフリーで得られるであろうリターンよりも低くなるということを意味します。(簡単に言うと、元本保証が0.1%リターンだとすると元本保証+αは、0.08%での元本保証になるということ)
【トレーディングシステム終了は稼働トータルで損をしている時】
では、トレーディングシステムの話に戻って結論から先に言えば、トレーディングシステムが終わるときというのは損をして終わるという心構えで運用をするべきです。というのも、トレーディングシステムが利益を残せる状態というのは、そのトレーディングシステムが今後も利益を残せる確率が高いからであり、そのようなトレーディングシステムを早期に終わらせるのは非常にもったいないことだからです。
もちろん、マーケットのレジーム変化によりトレーディングシステムを早期に終わらせるほうがよいこともありますので、そういうときはトレーディングシステムを停止すべきです。ただ、トレーディングシステムを停止するという行動も、そのトレーディングシステムに対する相場勘、ないしトレーディングシステム運用勘とでも言いましょうか、優れたマネーマネジメントが必要となりますので、トレーディングシステムが将来機能するかどうかというのもまた相場を予測するのと同様に判断が難しいものです。
【ビジネスとして考えてみる】
ビジネスを例にとって考えてみましょう。うまくいっているビジネスはずっと継続するべきで、逆にうまくいっていないビジネスは止めるべきです。廃業するときには資産を残しておきたいという気持ちになるかもしれませんが、資産を残すことを考えてビジネスをするのは成功の妨げとなります。ビジネスを成功させるためにはある程度の覚悟と、リスクを許容することが必要です。資産は、その継続の産物としてたまたま残るものだというところに留めておくのがよいでしょう。
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