行動ファイナンス

投資家心理に基づいた投資家の行動がどのように市場価格に結びつくのか、行動ファイナンスの用語とその定義を確認し、トレーディングに役立てます。
1. 経験則によるバイアス(Heuristic-Driven Bias)

 

個人の経験や試行錯誤、体験を通して投資意思決定を行うこと

代表制

Representativeness

固定観念や過去の経験で物事を予測してしまうこと
例、よい会社は株価が上がるはずだ。
自信過剰

Overconfidence

自己の予測能力を過信すること。過剰売買や集中投資を行いがちである。

個人の場合:自身の成功が投資にも通用するはずだと考えてしまうこと。投資の世界において医者や弁護士がカモと言われるのはこの原理である。

プロの場合:学歴や経験により、優れた予測能力があると盲信してしまうこと。東大卒アナリスト等。

固執

Anchoring

新しい情報を全て織り込むことができないこと、もしくは以前の予測値に大きく依存してしまうこと。
曖昧さの忌避

Ambiguity Aversion

よくわからない投資を回避すること。方向性が確かでないマーケットには参戦しにくいと感じること。

 

2. 枠組み依存(Frame Dependence)

意思決定や行動の際に、既存の情報に左右されてしまうこと

損失回避

Loss Aversion

損失を認めたくないこと。塩漬け株があてはまる。皮肉にもこの行動はかえってリスクを増やす行動となる。
自主管理

Self Control

投資や財産に関する感情のコントロール。配当はリターンの一部というよりは収入の一部とみなす等。
後悔の最小化

Regret Minimization

  1. 売ってしまった株がその後値上がりした経験があるので、次に、含み益のある株を保有したときに後悔したくないがために利食い時期を見逃してしまうこと。
  2. ポートフォリオの配当や金利を再投資として使わずに生活費として使ってしまうこと。
リターンの幻想

Money Illusion

インフレーションを考慮することなしに、戦後の株価上昇を見てそのままそのリターンが得られると考えてしまうこと。

 

3. 認知的不協和(Cognitive Dissonance)

過去に自身が下した決定や行動と、自分の考えが合っていないこと

責任帰属バイアス

Self-attribution bias

儲かったときは自分の手柄とし、損をしたときは他人のせいにしてしまうこと。
後知恵バイアス

Hindsight bias

過去において、予測が可能であったと思いこんでしまうこと。例えば、オバマさんが大統領になるということが2008年初頭の段階で予測できたと思い込むこと。
楽観視

Optimism

悪いことは起こらないと感じてしまうこと。車の保険に入らないとか。
間違った分散化

1/n diversification

分散化の意味がわからずに、分散してしまうこと。例えば、5つの投資対象が与えられた際に、5分割均等の資産配分を行うこと。
親密性

Familiarity

親しみある銘柄に投資してしまうこと。
ホームバイアス

Home bias

国内投資の範囲しか考えていないこと。

 

4.初心者による投資意思決定プロセス(Process of beginners)
合理性の限界

Bounded Rationality

合理的計算式には限界があるという前提で、それに加えて経験則を用いる行為。
現状維持バイアス

Status quo bias

経済状況が変化しているにもかかわらず、何の投資行動も起こさないこと。
近視眼的損失回避

Myopic Loss Aversion

短期的な損失にのみ焦点を合わせてしまうこと。
推薦効果

Endorsement Effect

提示された投資リストを見て、あたかもそれを推薦されているものだと錯覚し、リストと同じような投資を行ってしまう行為。

 

5.ハイブリッド運用(Allocation Alphas)
プロセスと結果

Process vs Outcome

投資家は投資プロセスや分析をすることなしに直近のパフォーマンスを過大評価してしまう傾向にあること。
護送船団方式

Herding behavior

日本人が得意(?)な行動。投資家は自分の投資行動と同じような行動をしている他者を探し、同調したがる傾向にある。横並び主義。
6.ベイズ統計(Bayesian Statistics)
視点硬直性

Rigid Views

新しい情報があるにも関わらず、古い情報に固執すること。(期待確率の不修正)
7.熱狂相場(Ebullience)
熱狂サイクル

Ebullience Cycle

投資家の感情がマーケットによって支配されること。下落相場の時は、パフォーマンスを評価せず、上昇相場の時は激しく売買を行ってしまうこと。
目標価格の変更

Price Target Revisions

あらかじめ設定された目標価格に到達しそうになると、目標価格を再調整してしまうこと。

 

8.アナリストの6つの心理的トラップ
固執トラップ

Anchoring trap

当初の情報にウェイトを置き、新しく得た情報を無視してしまうこと。
現状維持トラップ

Status quo bias trap

予測の変更を行わないこと。
確証トラップ

Confirming Evidence trap

予測を確証する材料を探し出し、予測は正しいのだという確信を得ること。株価上昇を予測した後に、日経新聞等で株価上昇の材料を探すこと。著名人と同調する場合もある。「藤巻健史さんも上がるって言ってた。」
自信過剰トラップ

Overconfidence trap

過去の失敗を無視して成功のみを強調し、自分の予測能力を過信すること。バブルの天井を当てた、など。
慎重トラップ

Prudence trap

保守的な予測をすること。今日の為替が105円/$のとき明日のレンジは108円/$から102円/$だと予測してしまう。
回想トラップ

Recallability trap

過去の経験から得た重要なイベント:テロやブラックマンデーを思い起こすこと。