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システムおぢさんのシステムトレード

システムトレードと自動売買 その2:メリット

システムトレードのメリットは、感情に基づいたトレードを排除することであり、かつ条件がそろったときにのみ売買を繰り返すことで効率化が図れることです。例えば、アイスクリーム屋を経営すると仮定して、一年中店を開くよりは、気温が23℃を超えるときのみ店を開くというルールの下で経営をすれば経営効率はぐっと増します。更に条件を巧みに組み合わせて、気温が23℃以下の場合はたい焼きを売るなど工夫ができるわけです。

システムトレードについてセンスが必要なのはそのルール構築術です。仮に気温が23℃近辺を上下する季節で一日毎にアイスクリームとたい焼きとを交互すればくたびれるだけかもしれませんし、アイスクリームとたい焼きをスィッチングする設定温度を気温7℃と設定すれば、お客さんから見れば???なお店であり、売り上げが伸びるはずもありません。

自動売買のメリットは、トレーディングそのものの時間を節約できることからより多くのマーケットにアクセスすることが可能であり、さらに手順も細かく設定できることから幅広い手法を試すことにもつながることです。分散化が図れることで、より多くのマーケットの分析が可能にもなります。

自動売買技術を究極的に追及している代表的な母体がヘッジファンドで、そのスタイルはHFT, High Frequency Trading(ハイ・フリクエンシー・トレーディング)とも呼ばれています。

システムトレード構築がよりアートであり、自動売買構築がよりサイエンスであることは明白だと言えます。

システムトレードと自動売買 その1:定義

繰り返しになりますが、システムトレードと自動売買とでは定義が異なります。システムトレードとはトレーディングをシステム化したものという意味で、あるパターンで機械的に売買を繰り返すことを意味します。つまり、一定パターンであれば手動発注をしても電話オーダーであっても立派なシステムトレードです。

自動売買は字のごとく自動で発注を繰り返すもので、事前に決めたルールに基づいて、いつの間にか約定から決済までの一連のプロセスが終了しているものを意味します。人を雇って売買をさせても、雇ったほうから見れば自動で売買が完結していますので自動売買と言ってもいいかもしれませんが、このスタイルは少々アナログ的ですね。

これらの定義を整理すると、自動売買であればそれはシステムトレードであると言ってもよいでしょう。(例外はランダムに自動売買を行うことですが、そのようなことはありえません。)ですが逆の、システムトレードであれば自動売買であるということは言えませんので注意して下さい。

優秀な運用マネジャーの選別

アクティブ運用のマネジャーは(集団全体で)超過リターンを獲得することができず、リスク調整後リターンであるアルファは平均的にゼロに収束すると以前から言われているのですが、誤解を恐れずに言うとそれはあくまで平均の話であって、少なからず運用能力のあるマネジャーは存在しているということも事実であります。

その優秀なマネジャーを選別することが可能であるということが、Active Management in Mostly Efficient Marketsという論文で示されており、そのためには4つの事象で有意に確認ができたことを述べています。

1、過去のパフォーマンス
2、マクロ経済との相関
3、マネジャーの性質
4、運用資産

ただし、上記4つを総合的に分析することで優秀なマネジャーを選別できるというわけではなく、具体的には一つのカテゴリ内で際立ったものを選ぶことがコツであるとのことでした。選別プロセスは複雑でコストもかかりますが、決して不可能ではないとも言えます。

更に言うと、運用能力のあるマネジャーは存在すると証明されていることは、すなわちスキルを磨けば超過リターンを得ることができるということを意味しています。それもそのはずで、下手くそなトレーダーがいることは間違いない事実であり、ということはうまくトレーディングをやれば勝ち残る人もいるというのは当然だということに帰結します。頑張りましょう。

商品先物の年間出来高推移(TOCOM代表銘柄の直近7年間)

直近7年の商品先物の年間出来高を表示しています。金(標準)のみ出来高水準が違いますので右軸の数値を基準としています。直近7年では明らかに出来高減少トレンドですが、やや下げ止まった感が見られます。ガソリンはピークが2003年で、その後は激しいダウントレンドが続きましたが、それも一服している様子です。過去2年で金の出来高が持ち直しつつあり、今年はどうなるか注目するべきポイントです。

昨年は米国デフォルト懸念や欧州債務危機でリーマンショック後の商品高に歯止めがかかった様子でしたが、緊張が和らぐと更に世界的に商品高が始まるかもしれませんので警戒が必要です。商品先物は長期的な投資としては限月交代からのロールオーバーがあることによりやや不向きだと言えますが、商品ETFや資源株に投資することで商品へのエクスポージャを取ることが可能です。

 

データ・サーフィン

  • Posted by: システムおぢさん
  • 2012年1月27日 3:02 PM
  • 未分類

TOCOMのヒストリカルデータ(特にティックデータ)は取っておいて損はありません。また、あるサイトでは株価の分足データが取得できます。

マーケットのアルファとベータ

  • Posted by: システムおぢさん
  • 2012年1月25日 3:47 PM
  • 未分類

前回、マーケットの動きを相殺するように仕組むヘッジ手法であるベータ・ニュートラルの解説をしました。ベータ・ニュートラルはヘッジファンドの代表的な手法の一つでもあり、これらマーケットニュートラル型のヘッジファンドの特徴は株式全体の値動きにとらわれずにアルファを獲得することを目指しています。

このアルファというのは、一般的に金融業界では運用者の運用能力を示します。アクティブ運用ファンドの最大のウリは投資家にアルファを提供することなのですが、アルファを稼げる運用者というのは稀にしかおらず、これまでの研究でも平均的にアルファはマイナスであるというデータも出ているくらいです。ちなみに、そのマイナス分というのは取引コストで殆どが説明できるとのことです。

このような消極的な結果が出ていることから、今度はアルファ・ニュートラルという手法が目立つようになりました。アルファ・ニュートラルとは運用者の能力を全否定する手法で、実際そのような用語はないのですが、当てはまるものはインデックス連動型投信や指数連動のETFがその例です。

アルファ・ニュートラル戦略を求める以上、投資家としてはコストを極力削ってもらいマーケットの値動きそのものを提供していただきたいものです。アルファ・ニュートラル戦略が求められているということは、すなわちプロ不要論とでも言えますので、金融業界は危機意識を持つべきなのですが、なかなかその考えに至っていないのが現状と言えるでしょう。

ヘッジ手法 ニュートラルヘッジ

以前、相関係数と値動きの関係についての記事で、相関だけでヘッジをするととんでもないことになるというお話をしました。今回は、変数を3つだけ使って相関係数とベータの関係を説明したいと思います。

・対象銘柄の標準偏差
・マーケットの標準偏差
・対象銘柄とマーケットの共分散

共分散とはそれぞれ対応するデータ組を掛け合わせたもので、二組が共にどのようにバラついているかを示しています。数値そのものは、例えば学力テストであれば平均50点、株価であれば平均9000円などバラバラに表現されているのでそれを標準化するプロセスが必要となります。そこで、分母を二組の標準偏差で掛け合わせたものとして標準化すれば、最大が1で最小が-1と物差しのように比較することが可能となるのです。

相関係数=(対象銘柄とマーケットの共分散)/(対象銘柄の標準偏差×マーケットの標準偏差

次にマーケットに対する標準化を考えてみましょう。マーケットと同じように動いているかどうかを判断するには分母を調整する必要があります。相関係数が二組の関連性を示していたのに対し、上記式の対象銘柄の標準偏差をマーケットの標準偏差で置き換えることで、今度はマーケットベースでの物差しに変化します。具体的には、マーケットと同じ割合で動くのであれば1でマーケットと同じ割合で逆に動くのであれば-1という式に変わり、これは金融用語でβ(ベータ)と呼ばれています。

β(ベータ)=(対象銘柄とマーケットの共分散)/(マーケットの標準偏差×マーケットの標準偏差

ベータ・ニュートラルヘッジは、マーケットの動きを相殺するように仕組むヘッジ手法です。対象銘柄のベータが2と1で比較した場合、ベータが大きいほうがよりヘッジ枚数が増えることになります。

(対象銘柄金額×ベータ:2)-(マーケット連動先物等)=ゼロに調整
(対象銘柄金額×ベータ:1)-(マーケット連動先物等)=ゼロに調整

また、直観的に受け入れやすい金額ベースでのニュートラルヘッジというものもあり、これは取引総額を合わせるだけのヘッジ手法となります。

どちらの手法でも完全にヘッジすることは不可能であり、ベータ・ニュートラルヘッジは個別のリスクが付きまとう問題が、金額ベース・ニュートラルヘッジは値動きが噛み合わないという問題が付きまといます。

ベータ・ニュートラルヘッジのほうがうまくヘッジできるような気になりますが、ベータの計算段階で計算期間を決めなくてはいけないことと、常に変動するがゆえにとっさに判断しにくいという問題があります。仮に何らかの理由で個別株を手仕舞いできなかったとき、とっさの判断で日経平均先物でヘッジするときなどは、どちらかというと金額ベース・ニュートラルヘッジの手法のほうがより現実的かもしれません。事前にベータ値を計算できていればいいのですが、実務では金額ベース・ニュートラルヘッジをするというのが殆どのような気がします。

デイトレーダーの経済的な存在価値

  • Posted by: システムおぢさん
  • 2012年1月20日 6:23 PM
  • 投資

1、流動性の提供
多彩な注文を出し、買い手にも売り手にも変化することからマーケットの厚みを提供しています。また、潤沢な流動性提供の結果、理論価格からの非合理な乖離を抑える効果をもたらしています。※下記2のノイズトレーダー参照

2、効率性の向上
市場のゆがみを是正するような投資機会を得ることで高リターンを実現し、効率性を向上する役割を果たしています。デイトレーダーはノイズトレーダーであるとの意見もあるが、稼げるデイトレーダーは超過収益を稼ごうとする姿勢を常にとっていることから、市場の効率性を高めていると考えてよいでしょう。

3、手数料の支払い
売買を行うことで仲介業者に手数料を収めます。仲介業者は手数料を収入源として、より洗練されたマーケット情報を提供したり、質の高い売買環境を維持したりします。

4、税金の納付
税金を納めることで社会に貢献できます。

デイトレーダーは素晴らしい経済価値をもたらしていますが、間接的な影響であるため誤解されている節があります。

おすすめの野村総研ニュースレター

  • Posted by: システムおぢさん
  • 2012年1月18日 3:12 PM
  • 投資

コンサルティングファームのお勧めニュースレターを紹介します。登録しておいて損はありません。当ブログでもネタの仕入れ先として何度かお世話になっています。

金融ITフォーカス 野村総合研究所(NRI)

特に面白いのが「数理の窓」です。PDF一枚に凝縮しているので時間もとられません。切り口が素晴らしく、いつも新鮮ですのでよかったらどうぞ。

コスト分析(Transaction Cost Analysis)

頻繁にトレーディングを行うと、そこにコストが発生します。バイサイド機関投資家であれば、コスト分析(Transaction Cost Analysis)をすることでマーケットの流動性と比較して、枚数は妥当であったか無駄な取引はなかったかを事後的に調査することができます。

個人投資家でも、理論上のコストと実際のコストを比較検証することができますが、個人投資家であるがゆえに売買総額がそれほど大きくないことから、調査費用と得られるメリットを考えると割に合いません。ですが、例えば簡単に数値を弾き出して発注方法を工夫するといった使い方は有効となるかもしれません。

実は、このTransaction Cost Analysisはあくまで経費節減の位置づけであり、究極の節約はゼロ=取引をしないという選択となります。コストを削るのは大事かもしれませんが、言うまでもなく取引をするかしないかの意思決定の方が上流プロセスにありますので、一取引毎のストラテジーの質を向上させることのほうが有益となります。リスクを取らなければ利益を得ることはできません。コストに見合わないリスクを回避することが、Transaction Cost Analysisのメリットです。

これは日本の政府債務削減とよく似た状況だと言えそうです。緊縮財政を進めることは大事ですが、緊縮財政は無駄を省くというだけの効果であり、やはり成長戦略を示さなければ国の未来はないということです。

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